研究内容

量子力学を習うと、誰でも次のような疑問を持つのではないでしょうか。
「波動関数とはいったい何だろうか。」
量子力学によると、波動関数の絶対値の二乗が粒子の存在確率をあらわす、とされています。 しかし、多くの人はこの日常からかけ離れた波動関数というものに対してイメージがわかず、その結果、量子力学に親しみが持てないのではないかと思います。

それでは、波動関数を「目で見る」ことができたらどうでしょうか。 実は、そのような物理系が近年実現しているのです。 それは気体を絶対零度の近くまで冷やした系です。 アインシュタインは、超低温で気体粒子それぞれの波動関数が同一の形になってしまうことを理論的に予言しました。 (この現象はボース・アインシュタイン凝縮と呼ばれます。) つまり、粒子一つだけでは点としか見えませんが、多数の粒子の分布が波動関数の形を浮き彫りにしてくれるわけです。

ボース・アインシュタイン凝縮が気体で実現されたのは1995年のことです(JILAMITRice)。 それ以降、ボース・アインシュタイン凝縮の研究は爆発的に世界中へと広がっていき、現在に至っています。 実現からわずか6年後の2001年にノーベル物理学賞が与えられたことからも、ボース・アインシュタイン凝縮実現のインパクトがいかに大きかったかをうかがい知ることができます。

ボース・アインシュタイン凝縮の魅力は、量子力学の世界を目で見ることができるだけでなく、それを意のままに操れるという点にあります。 量子力学が誕生してからおよそ1世紀になりますが、量子現象にはまだまだわからないことがたくさんあります。 例えば、宇宙創成時の量子現象や、未知の超伝導の発現機構が、ボース・アインシュタイン凝縮の研究を通して明らかになるかもしれません。

この分野は非常に新しく魅力的であると同時に、発展途上の分野であると言えます。 したがって、良いアイデアさえあれば、量子力学を習いたての学生でも世界最先端の研究成果を上げることも不可能ではありません。 また、我々は主に計算機を使ってボース・アインシュタイン凝縮体の振る舞いを研究していますが、数値計算をするだけで思わぬ新しい発見をすることもあります。 「計算機が得意だ」、「自分の頭で物理を考えるのが好きだ」、という学生の方々にとっては有意義に過ごせる研究室ではないかと思います。

さらに詳しく研究内容を知りたい方は、こちらのページをご覧ください。


最近、機械学習の分野が急速に進展していることはみなさんもご存知だと思います。 我々は、量子力学の問題を解くことに機械学習を利用するという研究を最近始めました。 機械学習に興味を持つ学生も歓迎します。